[開発ストーリー]ドライブスルーふくおか

厳しいムードが蔓延する中、弊社代表の梶原はLINEで急にとあるグループに招待された。
それが今回の「ドライブスルーふくおか」だった。
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—このプロジェクトはどのように始まったんですか?
梶原「元々は株式会社チカラ代表の元木さんからこういうお誘いを受けたんだよ。

「梶原さん 
ご無沙汰しております。コロナで大変な今、飲食店がお弁当や惣菜を持ちより、完全にドライブスルーで販売し、収益の一部で、医療機関にお弁当を届けようという企画を考えています。
よろしければ、当企画のロゴマークの制作にご協力していただけませんか?」

参加したタイムラインを眺めていると知り合いばっかりで…主催者のクックチャムの竹下さん、若手の市議会、JC、福岡各地の飲食業のリーダーたち…元木さんの金髪が写ったアイコンがスクロールしててもすぐ目に留まるぐらい目立ってた(笑)

この話を聞いた際、僕はすぐに彼らがやりたいことが伝わってきて、そこから一気にロゴのインスピレーションも湧き上がってきたから、気づけば無償で今回の件を引き受けていて…(笑)早速ロゴの制作に取り掛かった感じかな。」


—なるほど。実際にロゴの制作はどのように進めていかれたんですか?
梶原「メモに落書きしながら、メッセージの伝え方を考えてみるところから始めていった。
そうすると「弁当」「袋」「ドライブスルーにプラス要素」「庶民の心を掴む分かりやすさ」「気軽さ」「美味しさ」「ユーモア」「短期即効性」「お店が集合するスケール感」…
様々な要素が浮かんできて、けっこう盛り沢山なロゴスケッチになったね。」

ロゴのラフスケッチ

梶原「そして、イメージができたので、早速イラレで作り出すと、弁当を渡す手が何だかバトンにも見えてきて、『弁当でバトンを繋ぐ』ってなかなか素敵かもと思い始めた。

このプロジェクトを通して市民の皆さんや最前線で頑張っている医療従事者の方の日々の安心を応援するための「笑顔のおべんとうマーク」、それと人から人へ手渡しされる「レジ袋」「車」をモチーフにして、柔らかい線とフォントで構成した。さらにメインカラーにはオレンジを使って、温かみを与えられるロゴに仕上がったと思う。

最終的には、依頼されていたプロジェクト名「ドライブスルーふくおか」のロゴマークだけじゃなくて、おまけとしてプロダクト名「ありがとうべんとう」と韻を踏んだメッセージもつくって提案してみたんだよね。」

興に乗ってくるとついつい筆に進み”過ぎて”しまうのは、梶原の癖のようなものだ。

—実際に出来上がったロゴをご覧になった運営の方々はどのような反応でしたか?
梶原「提案したロゴマークを最初に見た元木さんは喜んでくれて、そのまますぐに各飲食店のリーダー達にも受け入れられたみたいだった。それから行われた参加飲食店19店舗のリーダーたちも交えて行われた最初で最後の会議は今回の会場に当たる中村学園でのオペレーション準備の段取りに関してだったから、企画メンバー中心の会議で、本来ロゴ担当の僕は行かなくても良かったんだけど、やっぱりプロジェクトに参加している以上、聞いておきたいから行っちゃった。台風の目に入っていくみたいな…(笑)

そしたら集まった飲食店の方々は、福岡の人なら知っている有名店が多かったから、それを見た僕は皆さんのお店のロゴを活かせないかと思って…
そこで、袋のフレームに飲食店舗のロゴを入れて並べてみることにしたんだけど、そうするとなかなかのリアリティーが出てきて、この集合アイコンで広報力・拡散性に加速がついて、企画としてのパワーを上げられそうだと感じられたよ。」

参加15店舗のロゴが入ったプロジェクトのメインビジュアル

—実際に現場視点になることでより適切な展開がわかるんですね…そこからプロジェクトはどのように進んでいきましたか?
梶原「一度ロゴができてしまってからは、そのロゴを使って一気にFacebook、LINE@など各SNSでの広報活動が行われて、各店舗の代表商品となるお弁当の写真と説明、価格が掲載され、予約受付のフォームもすぐ立ち上がっていった感じだね。」

プロジェクト自体が立ち上がったのが4月29日、そこから1週間で実施まで漕ぎつけ、第1回開催日が5月5,6日、9,10日となった。時間がない中でのプロジェクトだったが、メンバーたちの「少しでも福岡の力になりたい」という思いからこの短期間での開催が実現した形だ。

https://www.facebook.com/TAKASHI.TxSxS/videos/10220118300180888/

そしてこのプロジェクトは立ち上げ6日、開催4日で参加店舗は25店、LINE@の登録者数は11323名(5月9日時点)にまで増え、ありがたいことに各テレビ局にも取り上げていただいた。

最終的には、合計1810台ものお客様に来ていただき、6200個の売り上げを達成した。


しかも現在も好評につき、引き続き週末に開催しているそうだ。(今後の予定に関しては、Facebook・LINE@などを確認して欲しい。)


梶原「このイベントがここまで成功できたのは、初めての方々が多い中でも全員に目標と当事者意識があり、それぞれが助け合いの中で役割を果たせたことが大きいと思うよ。
マイナスムードをポジティブに変える。このような経験をした中で、僕はロゴの役割の重要性を改めて認識できた。
もちろんプロジェクト自体の立ち上がりの早さや様々な飲食店様の手厚いご協力のおかげだけど、その努力を皆様に100%伝えるためにはデザインのちからが役に立つと思う。」


—今回のことを通して、改めてロゴづくりにおける考え方を伺ってもよろしいですか?
梶原「必要と必要の関係性の間で機能に従うと必然的にカタチはできていく。ロゴというものは、様々な人の深層心理や日頃抱いている意識が集合したものがメッセージになり、記号になる。
これが、ロゴを作る基本的な考え方だと思う。」


これからも不安定な世の中が続くだろうが、その中で何かデザインが役に立てないかを考え、貢献していくのも今後デザイナーにとって必要な働きになるだろう。
(文責 古賀)