[カジウラバナシ] ロゴでメッセージを伝える

出典:葛西薫「図録 葛西薫1968」,株式会社ADP,2010年3月,234,235ページ

前回に引き続き、梶原さんが影響を受けた作品についてお話を伺っていきます。

 

―東京で広告のお仕事をされていたときに影響を受けた作品を教えてください。

サン・アドのアートディレクター、葛西薫さんの「サントリー烏龍茶」の広告です。

葛西さんのデザインは、1mmも隙がないくらい丁寧に作られているのですが、見ていて気持ちがいいんです。デザインされたものを見るとき、作品のエネルギーを強く感じてしまうこともありますが、葛西さんのデザインはスーッと吸い込まれてしまいます。明朝系の細い文字を使ったり、余白をうまく残したりされていますよね。

また、ビジュアルをコピーで説明してしまうと見る人の想像力がストップしてしまうのですが、葛西さんのデザインはビジュアルとコピーが掛け算になっているので、見る人に考える余裕を与えてくれます。

大切なのは「ビジュアルはメッセージを伝えるためにある」ということです。その考え方に感銘を受け、僕は今「ロゴはメッセージを伝えるためにある」ということを胸に、デザインをしています。

―広告とロゴ、表現が変わっても大切にされているものは変わらないのですね。

 

次回は梶原さんが広告のお仕事からロゴのお仕事にシフトされてから影響を受けた作品について伺っていきます。